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2020年02月18日 ニュース

MESA/Boogie 50th Anniversary 特別企画

MESA/Boogie 50th Anniversary 特別企画


  

MESA/Boogie History

MESA/Boogieは会社創設から2019年をもって50周年を迎えました。

こちらでは、1969年から常に先駆者として激動のギターワールドを駆け抜けてきたMESA/Boogieの歴史を数回にわたって紐解いていきます。

知っていたという方も知らなかったという方も、貴重な画像とともにこの機会にぜひお楽しみください。

 

 

・草創期(1969~1982) 伝説となったBoogieアンプ~世界初のカスケード式プリアンプMark I、世界初の2チャンネルアンプMark IIの誕生。

・拡充期(19831989) 時代を超越するMark II C+~世界初3チャンネルアンプMark IIIの登場。

・発展期(19902001) MarkシリーズはIIIからIVへ。金字塔を打ち立てたDual/Triple Rectifierのリリース。

・推進期(20022009) Lone StarRoad Kingといった新製品の台頭。究極形とも言われるMark Vが完成

・展開期(20102019) 小型アンプやキャビネットシミュレーター、コンパクトペダルといった時代に即した製品のヒット。そして原点回帰へ。

  

 

草創期(1969~1983)

■Randall Smith

世界で最初のブティックアンプカンパニーMESA/Boogie社の創始者/設計者であるRandall Smithは、1940年代にカリフォルニア州サンフランシスコに生まれ、父親がクラリネット奏者という恵まれた音楽的バックグラウンドで育ちました。11~12歳の頃に父親の友人が教えてくれた真空管のオーディオ回路をきっかけに、その後も友人とアンプやトランスミッター、ラジオ等を手作りするようになり、大学生の頃にはバンド仲間の壊れたアンプの修理をするようになっていました。

 

1960年代が終わりに近づくにつれ、San Franciscoのミュージックシーンは文字通り爆発的な勢いを増し急成長していきました。ジャンルにとらわれない素晴らしいミュージシャン達がカウンターカルチャーの中心地に集い、若い音楽探究者が一夜にしてポップアイコンへと変貌していきました。
このムーブメントの中で登場してきた新しい音楽が、エレキギターによる音楽でした。表現の手段として、エレキギターほど汎用性と音響的なパワーに優れた楽器は存在しませんでした。エレキギターは音楽的な面だけでなく、色気という面でも他に類を見ない楽器でした。
運命のいたずらによって、ドラマーでありサックスプレイヤーでもあったRandall Smithはこのベイエリアの6弦楽器の可能性に夢中になり、自身が創り出すアンプによって引き起こされることになるハイゲイン革命へと着実に歩を進めていったのです。

 

 

■ゲイン・コントロールの発明

1960年代後半、音楽革命がゴールデンゲートブリッジ、 Mill Valley、Lagunitas周辺で熱狂を増していました。友人の誘いで楽器の修理やメンテナンスを請け負うショップを始めたところ、多くのギタリストがアンプの修理に困っていたことから店にはお客さんが殺到。当時サンフランシスコで活躍していた有名なミュージシャンたちも例外ではありませんでした。そんなある日、練習用の小型アンプからものすごい大音量が出たらどうなるか?というジョークでCountry JoeというバンドのBarry MeltonのFenderの12W小型アンプPrincetonに改造を施しました。トランスを大型化してTweed Bassmanの回路を組み込み、2本の6L6真空管をパワーアンプセクションに使用、スピーカーもパワフルな12インチのJBL D-120に交換するという大掛かりな作業でした。アンプで歪みを得るためにはボリュームを上げるしか方法がなかった時代に、従来のボリュームでゲインをコントロールして増設したマスターボリュームで音量を調節する、という当時としては画期的な設計デザインは現代では当たり前のように採用されている技術ですが、このときの発想こそがその後の全てのアンプの礎となったのです。

 

その改造アンプを試奏したのが、たまたま通りかかったという若き日のCarlos Santana。初めて体験するサウンドに、”Man! That little thing really Boogies!(このアンプ、なんてブギーしてる音なんだ!)”と大絶賛。まさにこの瞬間が今後のエレキギターサウンドの有り方を決めたといっても過言ではありません。そのときのCarlos Santanaの言葉を気に入ったRandall Smithは、当時並行して行っていた自動車関連の事業で使用していたMESA Engineeringという社名と合わせて”MESA/Boogie”というブランドを誕生させました。そしてここから歴史が始まっていくことになるのです。

 

 

Carlos SantanaとセッションするRandall Smith

革新的なチャンネル・スイッチング

Carlos Santanaが絶賛したことが町中のギタリストに伝わり、改造プリンストンの注文が150〜200台と殺到。あまりの注文の多さにサンフランシスコの街からモディファイするPrincetonアンプが消えてしまったほどでした。

当時、ギタリストたちにとってサウンドの大きさとトーンのコントロールがうまくできないことは大きなストレスでした。充分なゲインを稼げないため、良いディストーションサウンドを得るためには音量を大きくしなければならなかったのです。Carlos Santanaもその問題に悩んでいた1人でした。そして、Randall Smithはオリジナルのアンプ開発と製造に着手し、1971年にMark Iと呼ばれる初代モデルがリリースされることになります(リリース当時はモデル名がなく後にMark IIが発表されたことでMark Iと呼ばれるようになりました)。

改造プリンストンのデザインを踏襲しながらも真空管を4本に増設した100W出力、さらに充分なサステインを得るために2つのボリューム+マスターボリュームという3ボリューム設計によりサステインを保ちながら自由に音量をコントロールすることが可能になりました。艶やかなクリーン~ハードなドライブまで多彩なサウンドを備えたこの画期的なアンプの登場は当時多くのギターアンプメーカーに衝撃を与えました。

 

ギタリストたちに無限のサステインをあたえたこの小さなBoogieハイゲインアンプは70年代の音楽に多大なる影響を与えることとなりましたが、Randall Smithの斬新なアイデアはそれだけでは終わりませんでした。1978年には、LEAD/RHYTHMの2つのチャンネルをフットスイッチで切替可能なMark II-Aを発表。現代でこそ多チャンネルアンプは珍しくありませんが、このモデルが世界初のチャンネルスイッチングアンプとなる画期的なものでした。その後1980年には世界初のチューブバッファード・エフェクトループを備えたMark II-Bをリリース。Class AとClass A/Bの真空管の動作を組み合わせたSimul-Classシステムのパワーアンプ回路もこのモデルから採用されるようになりました。Randall氏の時代を先読みするかのような類稀な設計センスは、ブランド草創期から多いに発揮されていたのでした。

original snakeskin Mark I

 

 

Randall SmithとMark IIA headをチェックするAl Di Meola

 

 

拡充期(19831989)

 

■時代を超越するMark II-C+

Mark IはCarlos Santanaをはじめ、Larry Carlton、Robben Ford、Keith RichardsやPete Townshend らの使用で一躍有名になりました。Mark IIもSteve LukatherやNeal Schonといったフュージョン系のプレイヤーはもちろん、ヘヴィミュージックシーンのMetallicaやBrad Gillisらが愛用し、ハイゲイン= MESA/Boogieというイメージを作り上げました。Mark II-Bは、1983年にはPull Bass Shift機能が追加され、エフェクトループの切替が可能なMark II-Cへと移行します。

 

そして翌1984年、ゲインをさらに押し上げ、ボイシングもさらに明るくするためにカスケードゲインリード回路にさらにもうひとつのゲインステージを追加した“デュアル・カスケード”回路を搭載させたMark II-C+が登場し、さらに多くのアーティストたちを魅了しました。翌年にはすぐにMark IIIが発表になったことで生産台数も少なく、そのサウンドの素晴らしさから現在でも入手困難な伝説のアンプとされています。

いまだMarkシリーズ史上最高傑作と言われるこのMark II-C+はMetallicaの”Master Of Puppets”での使用が最も有名で、James Hetfieldは”1984年にC +を鳴らした瞬間、それが自分が探して求めていたサウンドだったことに気がついたよ。 そして、そのサウンドが新しいレベルのリフを形作ってくれたんだ。” と語っています。

2016年にリリースされたJohn PetrucciのシグネチャーアンプJP-2Cは、巨大なトランスフォーマーからサーキットにわたって文字通り全てにおいて正真正銘のC+リイシューアンプとして製作されたことはまだ記憶に新しいです。John Petrucci本人もアンプリリース直前のインタビューでこう話しています。” 長年にわたってMESA/Boogieの様々なアンプを使用してきましたが、間違いなくII-C+が一番私に影響を与えた。シグネチャーアンプの開発が決定した時、私の焦点は既に決まっていました。“と。

 

1985年、Mark IIはそれまでの2チャンネル仕様からLEAD /RHYTHM 1/RHYTHM 2という3チャンネル仕様へと移行し、Mark IIIとしてさらに進化を遂げます。2チャンネルスイッチングですらまだ目新しかった当時としては先進的なモデルで、さらに多くのプレイヤーに浸透していくこととなります。網タイプの黒いグリルキャビネットとの組み合わせは、1980年代のハードロック/ヘヴィメタルシーンの象徴のひとつとなりました。

Kirk Hammett

 

Mark II ColiseumとHalf-back 4×12 Cabinet

■ラインナップの拡大

音楽シーンの変化とともにギタリストの機材も変化していきます。1980年代に入るとラックタイプの機材が主流となりますが、1987年にリリースしたQuad PreampやStudio PreampといったラックタイプのプリアンプはLAのスタジオミュージシャンたちがこぞって使用したことでも有名です。機能面を簡易化し出力をダウンさせながらもMESAならではのサウンドを楽しめるStudio 22や.50 Caliberといった機種は日本でも非常に愛されたシリーズでした。

 

MESA/Boogieはベースアンプにもアンプ史を語るには外すことのできない機種があります。そもそもMESA/Boogie社として一番最初に開発したのは実はギターアンプではなくベースアンプだったということは意外と知られていません。Mark Iをリリースするよりも前にMESA 450 Bass Headを製作。その後もMarkシリーズの成功と並行して開発/リリースを継続していきます。

そして1985年にリリースされたのがBass 400、1989年にはこのBass 400に6L6管を6本追加してトータル12本の6L6管を搭載したBass 400+が登場します。Paul McCartneyをはじめMark King、Stanley Clark、Jack Blades、Michael Anthony、Blasko、Bootsy Collinsといった錚々たるプレイヤーたちが、長きに渡って使用し続け彼らのバンドを支えていきました。MESA/Boogieは、この成功によってベースアンプ市場でのポジションも確立することになったのです。

Bass 400とDiesel 2×15 Cabinet

 

 

発展期(19902001)

■Mark IV

1989年、RHYTHM 1/RHYTHM 2/LEADの独立3チャンネルをフットスイッチでコントロール可能なMark IVがリリースされます。6ボタン・フットスイッチによりチャンネルごとに独立したGainやEQ、エフェクトループなどを足元で切替可能で、Externalコントロール端子によりMIDIスイッチャー等外部機器からのコントロールにも対応しました。また、パワーセクションではClass A/Simul-Classの出力切替やTriode/Penthodeの真空管駆動方式の選択によるボイシング、パワーアンプをミュートしてのサイレントレコーディングも可能なレコーディングアウトなど、今日では当たり前とも言える機能を30年も前に全て搭載していた画期的なモデルでした。多様性に富んだその機能とサウンドは、やはり世界中のギタリストたちを魅了しました。

Mark IIIは惜しまれながらも1999年に生産完了となりますが、冠を継承したMark IVはMarkシリーズとしては最長となる18年もの長きに渡って活躍し続けることとなります。現行のMark VのCHANNEL 3にはMark II-C+モードと並びMark IVモードを搭載しており、II-C+のレンジの広いブライトなトーンとは対照的なミッドレンジのゲインに重きを置いたタイトなリードトーンが特徴的です。

Mark IV Widebody 1×12 Combo

■時代が求めたハイゲインサウンド

1980年代のハードロック/ヘヴィメタルシーンにおいて、MESA/Boogieアンプのハイゲインサウンドは日に日にその存在感を増していきました。シーンと音楽の変化は、さらなる歪みを求めるギタリストを次々に生み出していきます。

そして1990年代に突入し、ハイゲインギタリストをターゲットにしたDual/Triple Rectifierが1991年にリリースされます。それまでにはなかった激しい重低音を伴ったディストーションサウンドはたちまち世界を席巻し、現在もなおハイゲイン/ヘヴィミュージックシーンのアイコン的存在となっています。

MESA/Boogieがハイゲインに特化することを目指して製作したDual/Triple Rectifierの象徴ともなっているフロントパネルはダイヤモンドグリルと呼ばれていますが、これはルックスもハードにするために当時消防車をモチーフに考案されたそうです。

なお、リリース当時のRectifierはVINTAGE/MODERNの2チャンネル仕様でしたが、2000年にはヘヴィなハイゲインサウンドはそのままによりバーサタイルなスタイルの3チャンネル仕様/全8モードへ移行。2010年にはチャンネルごとに出力設定が可能なマルチワット機能を新たに搭載し、モードごとのトーン等にもマイナーチェンジが施されより完璧なかたちに昇華されました。

 

Dual/Triple Rectifier後、1993年にはトレモロを搭載したTrem-O-Verb、94年にはヴィンテージサウンドを追求したBlue Angel、Maverick、98年には50WのSolo 50、リバーブを搭載したRect-O-Verbなどを次々にリリースし、Rectifierはその後もMESAにとって欠かすことのできない1つのシリーズとして確立していくこととなります。

1995年のMESAアンプ

 

Single Rectifier(Solo 50 Head, Rect-O-Verb)

 

これらの他にも、1990年に登場し2016年の生産完了までの26年に渡るロングセラーとなったTriaxisは、往年のMarkシリーズのプリアンプのトーンを収めたプログラマブルのオールチューププリアンプで、国内外の様々なギタリストに使用されました。

 

同年リリースされたDual Caliberは1984年にリリースされた小型アンプStudio .22の後継機種で、その後のF-Seriesへ続く系譜となります。ラックタイプの機材がどんどん主流になった頃にはMIDI信号を制御するためのMidi MatrixとMIDIフットコントローラー、複数のアンプを切り替えて使用するためのAmp Switcherもリリースしていたことは知らなかったという方も多いかもしれません。

 

オリジナルMark Iの25周年記念トリビュートとして考案されたHeartbreakerや、今日のMESAが得意とするオールマイティ/ヴァーサタイルなスタイルの先駆けにもなったNomad、真空管を搭載したペダルタイプのV-TwinプリアンプやV-1 Bottle Rocketオーバードライブなど、80年代後半から一気にラインナップを拡大した時期でもありました。

90s MESAラックマウント製品

(TriAxis, 20/20 Stereo Power Amp, Amp Head Switcher, V-Twin Rack, Dual Rectifier Rack, Coliseum 300)

 

 

 

推進期(20022009)

 ■追求と進化

1991年にリリースされ爆発的なヒットとなったDual/Triple Rectifierですが、次第に多様なサウンドが必要とされるようになった音楽シーンの変化に合わせて、2000年に2チャンネル/4モードから3チャンネル/8モードに仕様変更が行われます。2002年には、Rectifier サウンドのニュアンスをそのままレコーディングできるラックマウントタイプのRectifier Recording Preampもリリースされました。

このRectifierアンプの思想をさらに推し進め、当時アンプとしてやれること全てを詰め込んだMESA/Boogie最強のアンプと謳われたのが2002年にリリースされたRoad Kingでした(2004年にVersion1から2へアップデートされます)。全ての音色をカバーする4チャンネル/12モードのプリアンプに加えて、6L6管とEL34管の組み合わせ5種類を自在に操り各チャンネルごとに設定可能という全く新しい発想のこのアンプは、市場で次第にシェアを取り始めていたモデリングやシミュレーションとは一線を画す、まるで5台の真空管アンプをスイッチ1つで切り替えられるような画期的なギターアンプでした。John PetrucciやFoo Fighters、Kornをはじめ多くのロック/メタル系ギタリストたちが使用しましたが、ジャズ/フュージョン界を代表するLee Ritenourもこのアンプがファーストチョイスのプレイヤーです。

 

さらに、現役のラインナップとして外せないのが2003年リリースのLone Starです。ハイゲインにフォーカスしたアンプとは異なり、BlackfaceアンプのクリーンとMark Iのリードサウンドを併せ持ったコンセプトの新基軸は15年以上にわたって多くのプレイヤーに受け入れられてきました。Andy TimmonsやStingバンドのDominic Millerらの使用で有名で、2005年には、Lone Starのプリアンプはそのままにパワー管にEL84に搭載してよりヴィンテージ寄りのサウンドを狙ったLone Star Specialが登場します。

 

MESA/Boogieとしては異色とも言われた2006年リリースのStilettoシリーズでは、デフォルトでは6L6管のイメージが定着している同社において、ブリティッシュ・ロックサウンドの鋭い切れ味のあるギターサウンドをコンセプトにEL34管を採用しており、自らのRectifierアンプに真っ向から勝負を挑んだようなアンプでした。

 

2000年代も1990年代に続き豊富な製品リリースが続きました。小型アンプの流れを汲んで2002年にリリースされたF-Seriesはその後2007年にExpressシリーズへと受け継がれます。ベースアンプも1990年代からの真空管+MOSFETサウンドの流れを主流としたコンパクトサイズのWalkabout~Big BlockやCarbine等の大出力モデルまで幅広いラインナップがロングセラーとして誕生しました。

Munky(KORN)

 

Andy Timmons

 

 

 

■Markシリーズはついに第5期へ

MESA/Boogie40周年となった2009年、満を持してリリースされたのは第5世代となるMark Vでした。かつての名機Mark I、Mark II-C+、Mark IVのサウンドを1台に集約して忠実に再現し、3チャンネル/9モードのプリアンプセクションと3種類の出力切替の組み合わせを駆使した究極のMarkは、今現在も多くのギタリストに愛され続けています。Mark Vが1台あれば、まさにMesa/Boogieのギタートーンの歴史とその進化を体感することができるアンプなのです。

 

Mark Vはリリースから10年が経過しましたが、いまだに古くささを全く感じさせないのはそれだけ時代を先取りできている証拠ではないでしょうか。気の早いMESAユーザーの皆さんは次のMark VIはいつ出るのか、どんな仕様になるのか、と気になっている方もいるかもしれませんがそれはまだMESA/Boogie社のスタッフ以外の誰にもわかりません。ここまで完成されたMark Vのさらに上を行くアンプを想像できますか?想像するのは今はまだ難しいかもしれませんが、50年にわたってチャレンジを続けてきた彼らだからこそきっと斬新なアイデアを既に隠し持っているに違いありません。

John Petrucci

 

 

展開期(20102019)

■小型アンプの台頭

2010年代に突入すると、時代の流れとともに変遷する音楽シーンのめまぐるしさはもちろんのこと、楽器やそれにまつわるツールも加速度的に進化していきました。真空管アンプの小型化や機能拡張の流れもこのとき既に始まっていましたが、2010年にMESAがリリースした新シリーズTrans Atlanticは、VOXのブリティッシュ・サウンドとTweedおよびBoogieのアメリカンサウンドを1台で網羅するというコンセプトのアンプで、最初にリリースされたTA-15は非常に小型のアンプヘッドでした。

 

翌年Mini Rectifier Headが満を持してリリースされると、あっという間に大ヒットすることになります。それまでも市場に小型アンプは存在していましたが、MESAとの大きな違いはDual Rectifier等の大型アンプを製作する技術者がサイズの大小に関係なく全く同じようにこの小型アンプを製作していることでした。そしてサイズが小さくてもあのDual Rectifierのサウンドをパワー管にEL84を採用して再現してみせたのです。

 

2014年には、MarkシリーズからMark Vの25W小型サイズ版となるMark V:25 Headが登場しました。あのMarkシリーズがこんなかたちで更新されるなんてことを誰も想像していませんでしたが、Mark Vの多機能で多彩なサウンドを小型のフォーマットに落とし込むというサウンドコンセプトは見事な成功を収め、今現在ではMESA社のNo.1セールスアンプとなっています。

John PetrucciとMark V:25

■初のシグネチャーモデル

MESA/Boogie社は「アーティストのシグネチャーモデルを製造しない」ブランドでした。プロのアーティストも含めた全てのプレイヤーが使用するモデルに差はなく、アマチュアギタリストもプロのギタリストも一貫して同じ仕様のモデルを使用してほしい。それは自らが生み出す製品への絶対の自信の裏打ちでした。

 

そんなMESAの長年のポリシーに終止符を打つきっかけになったのは、やはりあのCarlos Santanaでした。2014年、限定品としてリリースされたKing Snakeは、Carlos Santana所有のSnake SkinのMark Iの実機を徹底研究し完全再現しつつも、現代のシーンにもマッチした新機能も搭載したものでした。

 

そして、レギュラーモデルとして初のシグネチャーアンプをリリースしたのは、やはりMESAと非常に深い関わりを持つJohn Petrucciでした。彼が望んだのは最も影響を受けたというMark II-C+の究極のリイシューアンプを作ることでした。JP-IICは、John Petrucciのファンのみならず、全てのMark II-C+ファンと当時そのアンプを使用していた数多のギタリストのファンにもぜひ使用していただきたい正真正銘のC+リイシューアンプです。

Carlos SantanaとRandall Smith

 

King Snake(左)とSantana所有のSnake Skin Mark I(右)

 

 

■アンプ周辺機器の充実化

高性能のチューブアンプを製造してきた経験から、信号経路上の全てのパートがまさに”トーン・コントロール”であるとMESAでは考えています。最高のアンプを使用しても、ピックでギターを弾いて出てきた信号が正しいかたちでアンプに届かなければスピーカーから出てくる最終的なサウンドが良いものになるとは言えません。

 

2010年代になってからはこのような考えに基づいたアンプ以外の製品にも力を注げるような生産体制を敷けるようになりました。2012年にはMESAの歪みをペダルフォーマットに落とし込んだ4機種と、2014年にはアンプに搭載している5-Band EQをそのままそれらに追加したペダル3機種をリリースし、アンプがなくてもMESAのサウンドエッセンスを得ることができるようになりました。

 

同じく2014年にリリースされたCab Cloneは、MESA初のダミーロード搭載のキャビネットシミュレーターで、スピーカーがない状態でもアンプのポテンシャルをフルに発揮してDAW等にも使用できる、現代のシーンが求める使用方法に真空管アンプをマッチさせることができるツールです。今年2020年、このCab CloneにリアクティブロードとIR(インパルス・レスポンス)を搭載して大幅にパワーアップしたCab Clone IRがリリースされたばかりです。

 

2016年にはギターからアンプまでの信号経路でロスを極限まで抑えるためのバッファー/シグナルマネージメント4機種を、2018年には2台のアンプをスイッチングして使用するためのスイッチャー2機種をリリースしています。

John PetrucciとBoogie Five-Band EQペダル

 

Cab Cloneキャビネットシミュレーター(真ん中)

■50周年。そして原点回帰へ。

そして50周年を迎えた昨年のアニバーサリーイヤーにリリースされたアンプFillmoreとCalifornia Tweedは、Randall SmithがMark Iをリリースする前に試作した最初期の“Boogieアンプ”のうちの何台かに採用したTweedアンプのデザインをルーツにしています。

 

当時、最終的にリリースされたMark Iの完成形はBlackfaceのデザインをルーツにもつアンプでしたが、これは当時の音楽シーンで求められるサウンドを叶えるために選択されたという経緯がありました。実はRandall Smith自身は個人的にはTweedアンプのサウンドを好んでいたので、このときどちらのデザインをベースにするかという選択はMESA/Boogieというブランドにとって大きな分かれ道だったのです。Mark Iリリース後MESA社はあっという間にシーンを席巻してしまったことで長年にわたって忙しい日々を送ることとなってしまい、同時にこのTweedデザインのBoogieアンプはお蔵入りとなったことからMESA50年における最高の秘密と呼ばれていました。

 

50年に渡るイノベーションの歴史を経て究極のクラシックアンプという原点に立ち戻ったこの2機種は、BlackfaceのレスポンスとTweedを基にした構造を組み合わせたことでローゲインではBlackface系の素晴らしいクリーン、クリップするまで歪ませればTweed系のソウルフルなゲインサウンドを生み出しますが、もちろんそこにはMESAならではのエッセンスがふんだんに盛り込まれたアンプに仕上がっています。

 

MESA/Boogieの歴史において、今までに“Boogie”ロゴを冠したアンプは歴代のMarkシリーズだけでしたが、Markアンプと同じ血筋を持つこの2機種はMarkシリーズ以外で初めて“Boogie”ロゴを冠することを許されたアンプなのです。

Mark Iを彷彿とさせるハードウッド仕様のFillmore25

 

California Tweed Myrtlewood

 

 

2020年を迎えてMESA/Boogieは新たに51年目をスタートしました。

Cab Clone IRは、所有するキャビネットのラインナップを自ら徹底研究してデータ化したIR(インパルス・レスポンス)を搭載し、アンプメーカーが本気で作り上げたキャビネットシミュレーターとして期待の新製品です。また、ヘッドタイプしかラインナップしていなかったMark V:25の1×10コンボ等続々と新製品リリースが年始から続いており、彼らのチャレンジはまだまだ止まることを知りません。

Cab Clone IR:

https://mesaboogie.jp/cab-clone-ir.html

 

“MESA/Boogie”というと日本では特に“Dual Rectifier=激歪み”のイメージが先行しがちですが、繊細なクリーンやソフトクリップしたサウンドも器用に操ることができる良質なアンプを他にも数多くラインナップしています。

そして多くのブランドが生産拠点をアジア圏に移していく中、頑なにカリフォルニア・ペタルマの自社工場1箇所だけでそれら全ての製品をハンドメイドで製作するブティックアンプ・ブランドなのです。

Triaxisの後継機種やペダルタイプのプリアンプ、MIDIを搭載したDual Rectifier、そしてMark VIなど、日本国内の多くのMESAファンの皆様からもたくさん頂戴している新製品のご要望はMESA側にも伝わっています。これらの新製品の実現に期待いただきつつ、今後もMESA/Boogieをご愛顧いただけますよう宜しくお願いいたします。

 

 

 

MESA/Boogie 50th Anniversary ムービー

ここではMESA/Boogieアンプと関わりの深いギタリスト3名の方に現行モデルを試奏いただきMESAにまつわるインタビューを収録しました。

 

CaliforniaTweed x 磯貝一樹

 

普段Lone Starをご使用という磯貝さんには、最新のCalifornia Tweedを弾いていただきました。

https://mesaboogie.jp/california_tweed.html

MESA/Boogie® は 50年に渡る進歩の歴史を経て究極のクラシックアンプという原点に立ち戻り、

クラシカルなシングルチャンネル式のツイードアンプにMESA/Boogieが蓄積してきた革新的なアップデートを加えたアンプです。

 

 

JP-2C x Kuboty(ex.TOTALFAT)

 

Dual Rectifierをご使用でJPを愛してやまないというギタリストのKuboty氏には、JP-2Cをチェックしてもらいました。

https://mesaboogie.jp/jp2c.html

John PetrucciシグネチャーモデルでありながらMark II C+の完全リイシューアンプであるJP-2Cは、

JPファンだけでなく全てのMESAファンに一度は弾いていただきたいアンプです。

MESA/Boogieと生粋のMESAフリークでもあるJPの30年にも及ぶコラボレーションの中でリサーチや開発が行われ、

Mark II C+のサウンドと機能が昇華されています。

 

 

Fillmore 100 x 桜村眞

MESA/BoogieエンドースアーティストでTriple Crownをメインでご使用の桜村眞氏には、Fillmore 100をチェックしてもらいました。

https://mesaboogie.jp/fillmore100.html

ソウルフルなサウンドを奏でる Fillmore にはMESA/Boogie社草創期に誕生した Boogie アンプのルーツとも言えるサウンドの DNA が刻み込まれています。Randall Smith が初めて生み出した Boogie アンプも Fillmore と同じ構造に基づいていました。

Carlos Santana がアルバム “Abraxas(天の守護神)” で使用したMark I のサウンドと回路が一躍脚光を浴びたことによって長らく眠り続けてきた Boogie の新しいアンプ Fillmore は、単に Boogieファミリーに新たに加わったアンプではなく、ニュータイプの Boogie DNA を生まれ持ったアンプです。

 

 

お問い合わせContact Us

製品の詳細につきましてはMESA BOOGIE日本公式サイトをご覧ください。
https://mesaboogie.jp/
MESA BOOGIE サイト(本国)
https://www.mesaboogie.com/
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